今回は全文引用です。
「COBS ONLINE」さんが書いた頑張ってる文章ですね。
船井総合研究所の人が記事書いてるんですけどね。
懐かしい響き…なんでもないですよ?(笑)
「内引き」という行為をご存じでしょうか? 万引きはお客さまが商品を無断で持ち帰る行為ですが、内引きは従業員が商品を無断で持ち帰る行為のことです。コンビニ1店舗における年間棚差ロス被害金額は、約48万円になります(売上比0.3%)。
平均年商 160,000,000円
棚差ロス 480,000円
H19年度 商業統計より算出
ココからは、筆者自身の経験からの情報になりますが、おそらくこの48万円の被害額のうち約半分は内引きが原因と考えています。経営者、店長からこの棚差ロスの改善に向けて相談を受けると、まずは最初に内引きの実態に向けての調査を開始します。幾つか体験した内引きの実態についてご紹介しましょう。
■主な内引き内容
・商品の空打ち
・休憩時間中に自己消費
・レジから商品売上返金処理
1.商品の空打ち
お客さまの中には、お急ぎの方がいらっしゃいます。たとえば、新聞1部のみを購入する方などです。レジにはほかの商品を購入するためにレジ待ちが並んでいるときに、横からヒョイと横入りし、「新聞ちょうだい。お金を置いとくよ」と言い残して出て行ってしまうお客さまです。
通常商品購入時は、商品売上登録と商品代金を精算するのですが、このケースだと商品の売上登録は後となります。打ち引きをする人はこの精算をせずに、そのまま現金をポケットに入れます。こうすると、商品は店内からなくなっていることになります。レジでは売上金額と現金実額の差は見えません。
この手法は単純ですが、なかなか見破ることができません。商品がなくなっていることは分かるのですが、誰も盗っていないので、防犯カメラの映像を見ても分かりません。私が経験した中で最大の被害額は約18年間にわたりこまめに抜き続けたパート従業員がいました。金額にして約230万円です。
この行為を暴いた方法としては、店内のレジ上に防犯カメラを設置してからです。店長としても犯人を見つけたいのではなく、今後の犯罪を防止したい思いが強かったので、防犯カメラを見えるように設置し「悪いことをしたら見つかるよ」とメッセージを送ったのです。
ただ残念なことに、この思いは伝わらずいつもと同じように商品代金を抜いてしまう行為を続けてしまったので、この行為が発覚しました。
2.休憩時間中に自己消費
コンビニは24時間営業をしています。しかし、店長は24時間勤務するわけにはいきません。そこで、店内に責任者がいなくなる時間帯が存在します。深夜は、22時~6時までの長時間勤務となるため、勤務時間中の休憩が1時間取得できます。そのため、中にはおなかがすく人もでてきます。こういった状況では内引きが発生しやすくなります。
例を挙げましょう。
某店舗で、棚差ロス額が大きくなっていました。防犯カメラ映像チェックなどを行い怪しい人物を見つけたりしながら徐々に被害額を減らしていきましたが、どうしても「おでん」、「中華まん」といったカウンターFF(ファストフード)商品の被害を減らすことができませんでした。
ある日、筆者が深夜遅くまで仕事を終え、小腹がすいたためこの店舗に買い物をするために寄りました(本部経営指導員は、担当店舗でのプライベート買い物が多くなる傾向があります)。店舗責任者がいない時間帯なので、一通り店内を巡回した後に、「今日の売上はどうだろう?」と気になったので、事務所に入ってみました。
するとその場には、見たこともない人たちが4人もいました。「誰?」という問いかけに対して、彼らはそそくさと片付けをはじめました。だが机の上にはビールの空き缶とおでんの容器が残っていました。その場で全員の氏名、住所、連絡先を確認した後に、すぐに経営者に電話連絡をして、店舗にきてもらいました。
レジ現金確認、POSデータ売上確認を行い、このビールやおでんを購入していないことを確認しました。
3.レジから商品売上返金処理
これほど単純な方法はありません。レジには「返金ボタン」がついています。この返金行為をすると、商品売上高から売上金額がマイナス計上され、レジ内現金からお客さまに返すことになります。
コンビニでは、1日に複数回レジ内現金とレジ売上額が合っているかどうかを確認する点検行為を行います。返金行為をすると、レジ売上高が減っているので、現金を抜き取ってもこの点検上はまったく問題がありません。
ただし、この手法は比較的簡単に見つかります。実は、レジには「返金確認」という機能がついており、何時に誰が返金をしたのかが分かるようになっています。この手法自体が容易であるため、犯人は何度も常習的に繰り返し行ってしまいます。複数回行っていると、返金実施上位者にランクインしてしまうので、「あいつが怪しいな」と疑われてしまうのです。
店舗経営者の大半は内引き行為をされると非常に悲しい気持ちになります。面接をして、信頼をした従業員に裏切られたことになるからです。経営者は「犯人を捕まえてやろう」と考える人は少なく、ほとんどが「できればやって欲しくない。次はやらないで」と願って、防犯強化のアピールを行っています。レジ上の防犯カメラやバックルームの防犯カメラ設置は抑止力を期待しているのです。
※この記事は、2008年07月30日~2009年12月18日まで日経ビジネスAssocieにて、連載していたものを加筆・修正し掲載しています。
●筆者プロフィール
笠井 清志(かさい・きよし)
船井総合研究所 戦略プロジェクト本部 次長 シニアコンサルタント。
1974年大阪府生まれ。複数の企業にてキャリアを磨き、船井総合研究所の経営コンサルタントとして従事する。コンビニ本部等の多店舗展開チェーン企業へのコンサルティングを中心に活動。クライアント先である「NEWDAYS」の平均日販を日本一に押し上げたことが話題になる。月刊コンビニ(商業界)にて連載を持つほか、著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よく分かるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。
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